論理学と自然言語 

目次


第1節 数学モデルと世界

第2節 推移律の背景

第3節 多角的な評価


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第6章 言語の背景としての数学モデル

 日常会話、あるいは科学的な議論の中では論理学の範囲では真偽を判定できないものがあります。例えば、群盲像をなでる、という言葉があります。ある盲人は象をなでて、象は厚い壁のようだといい、ある人は太いホースのようだ、と言い、ある人は太い柱のようだ、と言います。どの人の言ったことが正しいかは、論理学の範囲では判定できないのです。
 真偽を判定するには「象」に対する立体的なモデルが必要です。また認識者の位置も確定しなくてはなりません。
 もっと顕著な例は
「直線外の一点を通ってその直線に平行な直線はただ一本に限る」
という幾何学的命題でしょう。背景となる空間がユークリッド空間ならこれは真ですが、その空間がロバチェフスキー空間やリーマン空間なら偽となります。
 真偽が空間と言う数学モデル(世界)によって異なってくるのです。「象」は数学モデルかどうか分かりませんが、コンピュータ内に表現するときは数学モデルになるでしょう。
 文章の真偽を判断するとき、このように背景となる世界を理解しないといけないことが多いのです。