論理学と自然言語 

目次


第1節 論証を装った文章 − 受身形を使う

第2節 難解な文の危険

第3節 論理的におかしな文章

第4節 矛盾の後ろにあるもの

第5節 前提をうまく利用した言い抜け


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  第3章 正しからざる文 

第5節 前提をうまく利用した言い抜け

 よく、謝罪会見でこういう言い方をする人がいます。
「もしそういうことが事実であるとすれば遺憾に思います」
これは

The_Fact imp Sorry

という含意の論理命題です。含意命題の特徴は前提が偽であれば、結論(後件)が偽であっても全体は真になる、ということです。こういう言い訳をされたとき、
「ところであなたはそれが事実だ、と思っているのですか?」
と尋ねなければいけません。
「いやまだ分かりません」
と答えたら、
「それではあなたは謝っているわけでは無いんですね」
と畳み掛けなければなりません。
 言い抜けるときに限らず、前提をつけて人に相槌を打つ人が多いのです。
「そうだとしたらひどい話だね」
「あなたの言うとおりなら彼は悪人だね」
などですが、こちらに同意していると思いきや、
「いや、私はそんなことは信じていなかったよ。」とか、
「最初からあなたの言うことは本当だとは信じていなかったよ」
とか言われて逃げられてしまいます。
 こういう前提付きの話をされたら、当人に、その前提を信じているのかどうか聞き返す必要があるでしょう。