第7章 指数関数と三角関数
§3 三角関数ほか
 複素数に対する指数関数の値はどのように計算すればよいでしょうか?
次の例題を考えましょう。

例1 exp(2+3i)  を計算せよ。
解)前節の指数関数の加法定理を使うと、
   exp(2+3i)=exp(2)exp(3i)
となります。ここで、
   exp(3i) = cos(3)+sin(3)i
が前節のオイラーの関係式からいえます。
よって exp(2+3i) の実部は exp(2)cos(3)  で、虚部は exp(2)sin(3)
になります。実数に対する指数関数の値や、三角関数の値は関数電卓などを
使うと求められます(windowsではaccessoryフォルダー
の中に関数電卓がある。expはlnの逆関数として求める(Inv
ボタンを押してからlnボタンを押す)。またsin,cosの計算は
ラジアンで行う(Radボタンを押しておく)。
exp(2)=7.3890...、 cos(3)=−0.99...、 
sin(3)=0.1411...
なので、
 実部は 7.3890...*(−0.99...)=−7.315...
 虚部は 7.3890...*0.1411...=1.0427...
となる。

 また cos,sin についても、複素数に対する関数値を計算できます。
例2の前に次の公式を掲げます。
公式 cos (-z)= cos z, sin(-z)=-sin z.
このことから、余弦関数は偶関数、正弦関数は奇関数であるといえる。

例2 cos(3+4i) を求めよ。
解) 前節の cos と exp の関係から
  cos(3+4i)=1/2*(exp(i(3+4i))+exp(-i(3+4i))
  =1/2*(exp(3i-4)+exp(-3i+4))
  =1/2*(exp(3i)exp(-4)+exp(-3i)exp(4))
=1/2*((cos 3 +sin 3 i)exp(-4)+(cos(-3)+sin(-3)i)exp(4))
=1/2*(cos 3+ sin 3 i)exp(-4)+(cos 3-sin 3 i)exp(4)
=1/2*(cos 3 *(exp(4)+exp(-4))-sin 3*(exp(4)-exp(-4)) i )
 すなわち、実部はcos 3 *(exp(4)+exp(-4))/2,
      虚部は -sin 3*(exp(4)-exp(-4))/2
となる。

 ここで、複素数に対する双曲線関数を紹介しましょう。
定義  cosh z=(exp(z)+exp(-z))/2,
    sinh z=(exp(z)-exp(-z))/2
これらは、それぞれ(複素数に対する)
 余弦双曲線関数(cosine hypabolic function),
 正弦双曲線関数(sine hypabolic function) という。

これらを使うと
定理1 a,b を実数とすると、
cos(a+bi) = cos a * cosh b - (sin a *sinh b) i.
証明は例2の解答と同様である。

同様に
定理2 a,b を実数とすると、
sin(a+bi) = sin a * cosh b + (cos a *sinh b) i.
証明はやはり例2の解答と同様である。