第6章 冪級数
§4 冪級数と収束半径
 今 を複素数列とし、 を複素数としたとき
 関数列       (1)
を中心とする冪級数といいます。そして収束するしないに
拘わらず
                   (2)
と書きます。従って(2)のような形があらわれたら、(1)のような
関数列が与えられた、と考えてください。
 (1)または(2)のcを、冪級数の中心といいます。
 さて(1)の関数列がどんな条件の元で収束するか、を考えます。
簡単のために中心を0とします。多くの場合、c=0の場合だけ議論
しておけば十分です。それは判定条件をcだけ並行移動して考えれば
いいからです。
 冪級数  は勿論z=0のとき収束します。z0 の場合はどう
でしょう。それについて次の定理があります。

定理 (コーシーアダマール Cauchy−Hadamardの定理
実数について  とすると(R=の場合を含む)、
すべてのについて なら冪級数  は収束する。
またすべてのについて なら冪級数  は発散する。
証明: 前半)  とすると
  < 1、
したがって 冪級数  はコーシーの判定条件(前節)より絶対収束
する。ならば通常の収束(条件収束、conditionary
 convergent)もする。
 後半)  とすると
 > 1 (3)
ところで級数  が収束するためには ||  0 でなければならない。
 0 ならば   0 より(3)に反する。
すなわち、冪級数  は収束しない(発散)。 (証明終わり)
                 
上の定理のRを冪級数の収束半径(
といいます。

 この収束半径に注目すると、一般のを中心にする冪級数について、
次のことがいえます。

定理 冪級数  が  で収束すれば、 < 
なるすべての複素数  についてこの冪級数は収束する。
  
すなわち収束半径は冪級数  と冪級数  について同じ
です。

例1  の収束半径は?
 =  = 
よって収束半径R=0.

例2  の収束半径は?
 =  = 3
よって収束半径R=1/3.