第6章 冪級数
§3 Cauchyの判定条件
 今   なる数列を考え、それらの和
    
を考えましょう。これが収束するかどうかについて、Cauchyの判定条件
というのがあります。それを述べる前に上極限の概念を説明しましょう。
実数の数列  があったとき
    =  : 
   =  : 
のように2つの数列  と  を定義します。このとき更に
   = : 
 = : 
のようにして と  を定義します。このを数列
上極限( じょうきょくげん)といい、
   または または単に 
と書きます(値がも考えます)。同様に 上のを数列
下極限( かきょくげん)といい、
  または単に 
と書きます(値が− も考えます)。
 上極限と下極限について次のような性質があります。
 1.   
 2.  が に収束すれば
     =  = 
 3.  ならば  
 4.    
        

上極限を使うと次の定理がいえます。
   
定理(Cauchyの判定条件、Cauchy’s test
 上の級数は
     <
のとき収束し、
     >

のとき発散する。
 証明 
   前半の証明) 
       < を仮定する。
ならばある実数r(r<1)とある番号Nが存在し、
なるすべての に対し
      <
となる。よって
      <       (1)
となる。すると
    <
が(1)よりいえる。 より不等式の右辺は収束する(等比級数)。
左辺は非負()だからこれも収束する。
   後半の証明)
        を仮定する。
するとある番号Mが存在し なるすべてのに対し
       
となる。よって なるすべてのに対し
        
即ち  は収束しない。