第5章 複素関数の微分
§5 正則性と調和関数
 今、点zで正則な複素関数 f(z) を考えます。z=x+yi としたとき、
     f(z)=f1(x,y)+f2(x,y)i
と実部と虚部に分けて考えましょう。即ち f1 と f2 は実数値をとる2変数の
関数である。変数も実数である。このとき§3のコーシーリーマンの微分
方程式より、
     =  (1)
     = -  (2)
が成立しなくてはなりません。
 (1)式の両辺をxで偏微分すると
      (3)
また同じ(1)式を今度はyで偏微分すると
      (4)
同様に(2)式の両辺をxで偏微分すると
     (5)
また同じ(2)式を今度はyで偏微分すると
     (6)
これらの中に現れるxとyによる偏微分は
その順序によらないので、
(3)式と(6)式を辺々足すと
   =0  (7)
なる式が得られます。同様に
(4)式と(5)式を辺々足すと
   =0  (8)
なる式が得られます。
 一般に(7)、(8)のような式、即ち形式的に =
とおいたとき、 =0   (9)
の形をしたものを、ラプラス(Laplace)の微分方程式といいます。
そして記号 をラプラシアン(Laplacian)といい、このように
関数を操作するような記号を演算子(operator)といいます。
 また一般に(9)式を満たすような関数を調和関数(Harmonic Function)
といいます。即ち複素関数が正則である必要条件はその実部の関数も、
そして虚部の関数も調和関数になること(つまり、(7)(8)を
満たすということ)です。
 実部と虚部の関数が調和関数であっても、元の複素関数は必ずしも正則
であるとは限りません。2つの調和関数があるとき、それらを実部、虚部と
した複素関数が正則のとき、それらの調和関数同士は共役(conjugate)である
といいます。