全微分

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2変数関数 z = f(x,y) について
    z0 = f(x0, y0)
とし x,y,z の増分をそれぞれ
    dx = x + x0
    dy = y + y0
    dz = z + z0
とするとき
    dz = fx(x,y)dx + fy(x,y)dy (1)
を z の全微分という。
 これは物理学にも頻繁に登場する重要な式であり、概念です。
 全微分の意味は、点(x,y) を中心に考えて、そこから x方向に Δx 進み、y方向に Δy 進んだときの関数値 f(x,y) の変化量 Δz (Δz = f(x+Δx,y+Δy)-f(x,y)) の極限を表します。
 例えば f(x,y)=2x+3y とすると、x方向に5進み、y方向に7進めば、
    Δz = f(x+5,y+7)-f(x,y) = 2*(x+5)+3*(y+7) -2*x-3*y=2*5+3*7=31
となります。すなわち
    Δz = 2*(Δx)+3*(Δy) となります。ここで係数2と3は、fx(x,y) と fy(x,y) であるから
  Δz = fx(x,y)Δx + fy(x,y)Δy   (2)
がいえます。この極限を考えると(1)式がいえるわけです。この場合は f(x,y)=2x+3y は xとyの一次式であったが、そうでないときも(1)式が成立します。
 (1)式は(2)式と違って、極限を考えるので理解がむずかしいのですが、実際には比の形(dz/dt,dx/dt,dy/dtといった)で使われます(後で「パラメータ表示された関数の微分への応用:」 のところでも述べます)。
 例えば、「x方向に毎秒5cmで動き、y方向に毎秒7cmで動いているとき、z方向には毎秒どのくらいで動くか?」といったとき、(1)は
  dz/dt = fx(x,y)dx/dt + fy(x,y)dy/dt (3)
といった形になります。つまりx方向の変化率が dx/dt、 y方向の変化率が dy/dt、z方向(関数fの値が変化する方向)の変化率が dz/dt だと、(3)式は物理的な意味を持ちます。(3)式から分母のdt を省略したのが(1)式なのです。
 
< 例 >
関数 z = xy2 - 2x2 + 3y を考える。
このとき x,y の偏微分はそれぞれ fx(x,y) = y2 - 4x
fy(x,y) = 2xy + 3
したがって、関数 z = f(x,y) の全微分は dz = (y2 - 4x)dx + (2xy + 3)dy となる。



note!!!
一般にある関数 f(x,y) が微分可能ならば偏微分可能であるが、偏微分可能であっても微分可能とはならない。 多変数関数では微分可能のことを特に全微分可能といい偏微分との区別をすることがある。

パラメータ表示された関数の微分への応用:

  上の例にあるような2変数の関数 z = xy2 - 2x2 + 3y において変数xとyが他の変数 (例えば)tで次のように表されているとします((tによる)パラメータ表示といいます)。

x=x(t)
y=y(t)
  なおこれらは実際はx=g(t), y=h(t) のようになっているのですが、簡単のために関数g,hをx,yで表します。するとzはtだけの関数になるはずです。
  もしzを変数tについて微分しようとするなら、x(t),y(t)をzのxとyの式に代入してtだけの式を得て、しかる後にtについて微分する、ということになります。
  しかし、dx(t)/dt や dy(t)/dt が容易に求められるときは、全微分の形を使って dz/dt = (dz/dx)(dx(t)/dt) +(dz/dy)(dy(t)/dt) となることがわかっています(dz/dt はz のt による微分の意味)。

<例>
x=sint+2t, y=t^2+t とパラメータ表示されたx,yにより z が z=x^2+y^2+xy と表されたとき dz/dt を求めよ(a^2 は a の二乗の意味)。
<答>
dx/dt=cost+2
dy/dt=2t+1
dz=(2x+y)dx+(2y+x)dy
よって dz/dt=(2x+y)(cost+2)+(x+2y)(2t+1) 正確にはこの式のx,yもtだけの関数で表す必要がありますが、目的によってはこの形で止めておいてもいいのです。